こんにちは!店長ノムラです。
昨日は、宇宙空間でのゴルフという、夢のようなお話でした。
船外活動をしている宇宙飛行士によるショット、これ、
飛距離が160万キロ(!)にも達するという試算が出ていましたよね。
それを実現している環境要因の一つに、
フリクション(摩擦抵抗)の無さ、というのがありました。
今日は、ソコに注目して、
飛距離と摩擦抵抗について考えてみようと思います。
まず、
ビシッ!と打ち出したボールがどれくらい飛んでいくかを決定する要因についてですが、これには大きく分けて2つの条件があります。
一つは、
初期条件、もう一つは
環境条件です。
初期条件は、インパクトの瞬間のヘッドスピードや打ち出しの角度、スピンがどのようにかかっているか、等です。環境条件は、打ち出されたボールを取り巻く環境つまり、風など空気に関する条件です。店長ノムラの得意なスウィング診断は、主に初期条件における技術向上を主眼に置いています。
スウィング技術の向上は飛距離の伸長にとっても大切ですが、環境条件というもう一つの要素も考えておかなければいけません。
でも、
じゃあどうすりゃいいのよー
という話になるわけですが、一見環境は変えようがありません。
でも、実は環境を極小ながら変化させるということは、
ゴルファーの皆様はみんなやっておられます。ゴルフボールの表面に付いている
デコボコ、いわゆる
ディンプルが、環境を変化させるのに一役買っているからです。
ゴルフボールのような球体の場合、ディンプルの無いものと、ディンプルがあるものを同じ初期条件、環境下で打ち出した場合飛距離が全く変わってきます。
一見、つるっとしている前者の方が飛びそうなものですよね。
でも、ボールの進行方向に向かって空気抵抗が発生している場合、つるっとしたものの表面を空気が流れる場合と、でこぼこしたものの表面を流れる場合では、
空気の流れ方が違うんです。
前者は規則正しい層流、後者は乱流といいますが、乱流にすることにより、空気の流れはよりボールを包み込むようになります(乱流遷移と剥離点の後方遷移)。下の参考画像のような感じですね。

引用元:Parviz Moin and John Kim, "Tackling Turbulence with Supercomputers".
つまり
ディンプルは、飛行中に空気の流れを変化させて、
より飛びやすい環境作りに一役買っているというわけですこれが、環境を変化させているといった所以です。
さすがに、根本的に環境の違う、先日の宇宙や月面の話とまでは行きませんが、改めて空気の流れを見てみると驚きです。
いやあ、すごい。
で、なんでこんなことをわざわざご説明したかといいますと、この、乱流とディンプルの関係って、まだまだ正確に研究の余地が沢山残っている分野なのだそうです(特に乱流遷移とか)。
ボール表面のデコボコ一つとっても、どうすればもっと遠くまで飛ぶのか、ゴルフボールの開発者さんの、血のにじむような努力がしのばれますね

そこで、何かディンプルと抵抗関係で面白い成果はないかなと探していたわけです。
そうしますと、
以下の動画にたどりつきました。アリゾナ州立大学とメリーランド大学の研究者たちが、
ゴルフボールの表面上の空気の流れ(乱流)を、コンピューターで視覚化・シミュレーションしたものです!ゴルフ用品の進化は留まるところを知りませんが、材質や窪みの違いによってシミュレートが可能であれば、今後も更に進化が期待できそうですね

とはいえ、進化うんぬんよりもまず、こんな風になってるのかー!と驚きの一品ですよ!
【追伸】
「Mythbusters」という海外の番組で、車にゴルフボールのディンプルを施したら、1ガロン当たりの走行距離が普通の車より大分伸びたっていう実験もありましたね

エコにも貢献。ディンプル恐るべし!